「シートンのおばさん」の誤訳について

 拙訳「シートンのおばさん」の誤訳を、最近「黒猫幻想堂」氏がTwitterで指摘し
てくださった。わたしもそのTwitterを見て、文意がストンと腑に落ちた。

彼はわたしの心の中に「葬られて」いる時が一番幸せだったということである。 

 この作品の最後のところをわたしはこのように訳したが、間違っている。もし改
訂の機会があれば、指摘者への謝辞を添えて次のように訂正したいと思うが、そん
な機会があるかどうかわからないので、ここに書き留めておく。

わたしの思い出せる彼は「葬られて」いるよりも特に幸せではなかったということである。

  誤訳のために多分首を傾げたであろう読者のみなさんにお詫び申し上げる。

新刊のお知らせ『爆弾魔ーー続・新アラビア夜話』

 今度の新刊は、R・L・スティーヴンソン、ファニー・ティーヴンソン夫妻合作『爆弾魔ーー続・新アラビア夜話」。国書刊行会から四月末に刊行予定です。
 
 19世紀ロンドンの爆弾事件を題材にした一種の爆笑テロリスト小説ですが、本当に「アラビア夜話」を思わせる枠物語式のオムニバスで、アーサー・マッケンの「三人の詐欺師」は、これの構成を真似しています。またコナン・ドイルの「緋色の研究」に大きな影響を与えた作品でもあります。
「新アラビア夜話」の主人公ボヘミアのフロリゼル王子が、今は「シガー・ディヴァーン」という煙草屋の主人になっているけれども、実に気高く粋な脇役として活躍します。正編を読んでフロリゼルが好きになった方には、自信を持ってお勧めできる作品です。
 
 
 
南條竹則城主から四月の新刊案内でした。マッケンやドイルにも影響があった作品とのこと、楽しみですね!

新刊のおしらせ 『花ちゃんのサラダ』『狂気の山脈にて』

みなさま、おひさしぶりです。
南條竹則城主の新刊を二冊おしらせします。

◎『花ちゃんのサラダ――昭和の思い出日記』』集英社新書(税込946円) 
12月17日発売予定

南條城主より、「これはわたしの一番大切な本です」とのことです。

ラヴクラフト傑作集『狂気の山脈にて』新潮文庫(税込825円)
十二月一日発売予定

はやいところでは今月11月末から店頭には並びはじめる予定です。
インスマスの影』に続く第二弾です。

どうぞ楽しみにお待ちください。

「葉隠」の皿うどん

 早稲田から高田馬場駅へ向かって行くと、明治通りとの交差点の角に今も「葉隠」という居酒屋がある。
 この店には昔、幻想文学会の面々とよく行った。二階が居心地の良い座敷で、我々は「池田屋」と呼んで愛用した。幻想文学会のH会長が、例の新撰組池田屋のようだといって、こう呼んだのである。
 酒を飲んだあと、最後にいつも頼んだ「皿うどん」が美味かった。
 

熟柿

 私は若い頃は熟れた柿が好きでなかった。叔母が美味しそうに食べるのを軽蔑していた。
 年をとると、それが好物になった。鎌先温泉の売店瀬見温泉の菓子屋で売っている、近くの木でとれたとおぼしい小さい柿の熟れたのを喜んで買って食べたが、最近はこういうものを売らなくなった。田舎の柿も空しく烏が啄ばむのみ。
   

タイ料理のワニ


 ワニはタイ料理でも食べるし、最近は中国料理でも使う。
 昔、新大久保の駅に近いビルの二階にタイ料理屋が出来た。そこへO君と二人で入った。
 店長は日本人のおじさんだったが、コックはタイ人の腕の良い女性だった。
 その店長のお勧めで、ワニと雀の揚げ物を食べた。どちらもじつに美味かった。焼鳥屋に雀焼きというのがあるが、たいていは雀でなくヒヨコだとこの店長から聞いて知った。

公園六区の「不二家」

不二家」は浅草公園六区の映画館街にあった昔の大衆食堂で、私が南千住へ越して来た時にはもう営業していなかったが、建物は長いこと残っていた。看板に「誇る味覚 豊かな栄養」とあったのが時代を偲ばせた。