「シートンのおばさん」の誤訳について

拙訳「シートンのおばさん」の誤訳を、最近「黒猫幻想堂」氏がTwitterで指摘してくださった。わたしもそのTwitterを見て、文意がストンと腑に落ちた。 彼はわたしの心の中に「葬られて」いる時が一番幸せだったということである。 この作品の最後のところを…

新刊のお知らせ『爆弾魔ーー続・新アラビア夜話』

今度の新刊は、R・L・スティーヴンソン、ファニー・スティーヴンソン夫妻合作『爆弾魔ーー続・新アラビア夜話」。国書刊行会から四月末に刊行予定です。 19世紀ロンドンの爆弾事件を題材にした一種の爆笑テロリスト小説ですが、本当に「アラビア夜話」を思わ…

新刊のおしらせ 『花ちゃんのサラダ』『狂気の山脈にて』

みなさま、おひさしぶりです。南條竹則城主の新刊を二冊おしらせします。 ◎『花ちゃんのサラダ――昭和の思い出日記』』集英社新書(税込946円) 12月17日発売予定 南條城主より、「これはわたしの一番大切な本です」とのことです。 ◎ラヴクラフト傑作集『狂気…

「葉隠」の皿うどん

早稲田から高田馬場駅へ向かって行くと、明治通りとの交差点の角に今も「葉隠」という居酒屋がある。 この店には昔、幻想文学会の面々とよく行った。二階が居心地の良い座敷で、我々は「池田屋」と呼んで愛用した。幻想文学会のH会長が、例の新撰組の池田屋…

熟柿

私は若い頃は熟れた柿が好きでなかった。叔母が美味しそうに食べるのを軽蔑していた。 年をとると、それが好物になった。鎌先温泉の売店や瀬見温泉の菓子屋で売っている、近くの木でとれたとおぼしい小さい柿の熟れたのを喜んで買って食べたが、最近はこうい…

タイ料理のワニ

ワニはタイ料理でも食べるし、最近は中国料理でも使う。 昔、新大久保の駅に近いビルの二階にタイ料理屋が出来た。そこへO君と二人で入った。 店長は日本人のおじさんだったが、コックはタイ人の腕の良い女性だった。 その店長のお勧めで、ワニと雀の揚げ物…

公園六区の「不二家」

「不二家」は浅草公園六区の映画館街にあった昔の大衆食堂で、私が南千住へ越して来た時にはもう営業していなかったが、建物は長いこと残っていた。看板に「誇る味覚 豊かな栄養」とあったのが時代を偲ばせた。

アマドコロ

山菜。三月末、瀬見温泉でアマドコロのおひたしを食べた。 それは庄内産のものだったらしいが、道の駅でも売っていたというから、瀬見のあたりでもそろそろ出始めたのだろう。 アイコを細くしたような緑の茎野菜で、ほのかな苦味がある。

五月と六月の新刊案内

みなさま、おひさしぶりです。 コロナ禍で、お出かけできないかわりにいつもより本を手に取る回数が増えている方も多いのでは……と想像しています。そんなタイミングで新刊のおしらせです。これから南條竹則城主の新刊がつづけて二冊!刊行です。 ◎チェスタト…

【近刊案内】『ゴーストリイ・フォークロア 17世紀~20世紀初頭の英国怪異譚』

2020年1月7日、南條城主の新刊がでます! ◎『ゴーストリイ・フォークロア 17世紀~20世紀初頭の英国怪異譚』。 ひっそりと記録された知られざる幽霊譚を紹介する、唯一無比な一冊。英国怪談に精通する著者が、英国・アイルランドの奇妙な物語を厳選して…

新訳『インスマスの影――クトゥルー神話傑作選』

新刊のおしらせです。 七月二十六日に新潮文庫より『インスマスの影――クトゥルー神話傑作選』が発売されるそうです! 【内容】 異次元の色彩 ダンウィッチの怪 クトゥルーの呼び声 ニャルラトホテプ 闇にささやくもの 暗闇の出没者 インスマスの影 南條竹則…

「アルー」の豆入りカレー

堀切菖蒲園の駅のそばに、「アルー」というカレー屋がある。 名物の「アルーカレー」というのを取ってみたら、カレーに豆が沢山入っている。 腹がふくれすぎる感じだったが、おかみさんがトローリトロリとカレーのルーを掻きまぜながら鍋で煮ている姿に趣が…

青麦

昔、夏にドイツへ行った時、弟たちと青麦の実っている畑の道を歩いた。 子守りのおねえさんが麦の穂を一つもいで、こちらに渡した。殻を剝いて食べてみたら、生の麦はみずみずしかった。

柚餅

昔、小学校のスキー教室で野沢温泉に行った時、帰る晩に、旅館の前の土産物屋「柚餅」を買ったのを思い出す。小さく、平べったくて、薄緑色をしていた。とくに美味かったわけではない。

干柿

年をとると食べ物の好みが変わることは、御存知の通りだ。 子供の頃、干柿はあまり食べなかったが、四十を越した頃から妙に好きになった。以前、冬場に東鳴子の田中温泉へ行くと、近所の人がこしらえた干柿をどっさりくれるので、堪能した。「龍口酒家」の石…

赤目河豚のしゃぶしゃぶ

昔、歯科技工士のSさんに連れて行ってもらった根岸の「近江屋」では、五月頃から夏にかけて赤目河豚を食わせた。 身を厚く切り、しゃぶしゃぶのように湯をサッとくぐらせ、すぐに氷の上にのせて、キュッとしめて食べる。味はトラより淡白だが、乙なものだ。 …

マンボウの湯引き

「中里」の旦那は河岸で変わったものを仕入れるのが好きだった。 ある時、マンボウの刺身があった。刺身といっても、湯引きして刻んである。歯ごたえは豚のガツのようだった。

新刊案内です。M・P・シール「紫の雲」&G・K・チェスタトン「奇商クラブ」

ひさびさの新刊のご案内です。 ◎G・K・チェスタトン『奇商クラブ』 十一月、創元推理文庫。チェスタトンらしい奇想短編集。訳者は牧師さんの話が好きだ。 www.tsogen.co.jp ◎M・P・シール『紫の雲』 十二月、アトリエサードより発売。大変な怪作なり。傑作で…

書き下ろし餃子エッセイ『ギョウザとわたし 餃子和我』刊行のお知らせ

惑星と口笛ブックスより、書き下ろし餃子エッセイ、『ギョウザとわたし 餃子和我』、只今発売中。自信作也。 ※湯けむりのあいだに異界を垣間見る名温泉エッセイ『幻想秘湯巡り』も惑星と口笛ブックスで復刊中です!(小三毛) dog-and-me.d.dooo.jp

渋谷の「長崎ちゃんぽん」

昔、道玄坂の「旭屋」という蕎麦屋の角から横丁に曲がると、チャンポンの店があった。 狭いが、サラリーマンなどで混んでいて、味は仲々良かった。

「中ざと」の柚焼酎

根岸の「中ざと」では、暮になると、田舎から送って来る柚を切って、ほろ苦い柚焼酎をつくった。口当たりが良くて、その季節にはこればかり飲んでいた。

最上の鯨鍋

瀬見温泉のあたりでは、塩鯨とミズと新ジャガイモを材料にして、味噌仕立ての鍋をつくる。旅館でも時々出る。ミズは盆の頃のが、春のミズよりも美味いという。皮を剥いて使う。

なめとこ山の小十郎漬け

これは昔、「鉛温泉」の売店で売っていた鉄砲漬けで、大根の芯に唐辛子が入っていて、ピリリと辛かった。

「台北飯店」の砂肝焼きビーフン

再開発前の新宿南口にあった「台北飯店」は朝の五時までやっているので、新宿で遅くまで飲んだ人間が始発を待つ避難所だった。 ここの「砂肝焼きビーフン」は、ゴウゴウと燃えさかる火でサッと炒めた歯ごたえのある砂肝が何とも美味い逸品だった。 この店は…

門前仲町「大坂屋」の串煮込み

門前仲町の「大坂屋」の串煮込みは、シロと軟骨とフワの三種類。甘辛い独特の味つけである。 昔、道玄坂の「雪国」のおババが、ここの味を真似して煮込みをこしらえたことがある。といっても、串には刺さなかった。串に刺さない串煮込みはやはり今ひとつと思…

赤目芋

子供の頃、お酉様の屋台でやつがしらと間違えて赤目芋を買ったら、筋っぽくて食べられなかった。 けれども、この芋もちゃんと煮れば美味い。 福建や台湾では赤目芋をつぶしてキントンのような「芋泥」にする。台北の「福園」で食べた芋泥には銀杏がポツリと…

「鈴芳」の串カツ

浅草の通称「ホッピー通り」にある「鈴芳」の串カツは、つぶしたジャガイモに葱と豚肉の串をくるんだ、いわばコロッケ・カツである。面白い。

 G・K・チェスタトン「ポンド氏の逆説」創元推理文庫

G・K・チェスタトン「ポンド氏の逆説」創元推理文庫 十月末発売。乞う御期待。 www.tsogen.co.jp

ウコギ御飯

五月、微温湯の朝食に、山で採ったウコギの若芽を炊き込んだ飯が出た。 豆御飯のような香りがする。

「栄川」の花見

ゴールデンウイークに福島の微温湯温泉へ来たら、道沿いに植わっている大山桜の並木が満開になった。 今日は暖かいから、花見をしようと思う。 帳場にいって、「栄川」のワンカップと麒麟ビールの缶、それに少しのつまみをもらい、小盆にのせて、良さそうな…