熟柿

 私は若い頃は熟れた柿が好きでなかった。叔母が美味しそうに食べるのを軽蔑していた。
 年をとると、それが好物になった。鎌先温泉の売店瀬見温泉の菓子屋で売っている、近くの木でとれたとおぼしい小さい柿の熟れたのを喜んで買って食べたが、最近はこういうものを売らなくなった。田舎の柿も空しく烏が啄ばむのみ。