新訳『インスマスの影――クトゥルー神話傑作選』

新刊のおしらせです。 七月二十六日に新潮文庫より『インスマスの影――クトゥルー神話傑作選』が発売されるそうです! 【内容】 異次元の色彩 ダンウィッチの怪 クトゥルーの呼び声 ニャルラトホテプ 闇にささやくもの 暗闇の出没者 インスマスの影 南條竹則…

「アルー」の豆入りカレー

堀切菖蒲園の駅のそばに、「アルー」というカレー屋がある。 名物の「アルーカレー」というのを取ってみたら、カレーに豆が沢山入っている。 腹がふくれすぎる感じだったが、おかみさんがトローリトロリとカレーのルーを掻きまぜながら鍋で煮ている姿に趣が…

青麦

昔、夏にドイツへ行った時、弟たちと青麦の実っている畑の道を歩いた。 子守りのおねえさんが麦の穂を一つもいで、こちらに渡した。殻を剝いて食べてみたら、生の麦はみずみずしかった。

柚餅

昔、小学校のスキー教室で野沢温泉に行った時、帰る晩に、旅館の前の土産物屋「柚餅」を買ったのを思い出す。小さく、平べったくて、薄緑色をしていた。とくに美味かったわけではない。

干柿

年をとると食べ物の好みが変わることは、御存知の通りだ。 子供の頃、干柿はあまり食べなかったが、四十を越した頃から妙に好きになった。以前、冬場に東鳴子の田中温泉へ行くと、近所の人がこしらえた干柿をどっさりくれるので、堪能した。「龍口酒家」の石…

赤目河豚のしゃぶしゃぶ

昔、歯科技工士のSさんに連れて行ってもらった根岸の「近江屋」では、五月頃から夏にかけて赤目河豚を食わせた。 身を厚く切り、しゃぶしゃぶのように湯をサッとくぐらせ、すぐに氷の上にのせて、キュッとしめて食べる。味はトラより淡白だが、乙なものだ。 …

マンボウの湯引き

「中里」の旦那は河岸で変わったものを仕入れるのが好きだった。 ある時、マンボウの刺身があった。刺身といっても、湯引きして刻んである。歯ごたえは豚のガツのようだった。

新刊案内です。M・P・シール「紫の雲」&G・K・チェスタトン「奇商クラブ」

ひさびさの新刊のご案内です。 ◎G・K・チェスタトン『奇商クラブ』 十一月、創元推理文庫。チェスタトンらしい奇想短編集。訳者は牧師さんの話が好きだ。 www.tsogen.co.jp ◎M・P・シール『紫の雲』 十二月、アトリエサードより発売。大変な怪作なり。傑作で…

書き下ろし餃子エッセイ『ギョウザとわたし 餃子和我』刊行のお知らせ

惑星と口笛ブックスより、書き下ろし餃子エッセイ、『ギョウザとわたし 餃子和我』、只今発売中。自信作也。 ※湯けむりのあいだに異界を垣間見る名温泉エッセイ『幻想秘湯巡り』も惑星と口笛ブックスで復刊中です!(小三毛) dog-and-me.d.dooo.jp

渋谷の「長崎ちゃんぽん」

昔、道玄坂の「旭屋」という蕎麦屋の角から横丁に曲がると、チャンポンの店があった。 狭いが、サラリーマンなどで混んでいて、味は仲々良かった。

「中ざと」の柚焼酎

根岸の「中ざと」では、暮になると、田舎から送って来る柚を切って、ほろ苦い柚焼酎をつくった。口当たりが良くて、その季節にはこればかり飲んでいた。

最上の鯨鍋

瀬見温泉のあたりでは、塩鯨とミズと新ジャガイモを材料にして、味噌仕立ての鍋をつくる。旅館でも時々出る。ミズは盆の頃のが、春のミズよりも美味いという。皮を剥いて使う。

なめとこ山の小十郎漬け

これは昔、「鉛温泉」の売店で売っていた鉄砲漬けで、大根の芯に唐辛子が入っていて、ピリリと辛かった。

「台北飯店」の砂肝焼きビーフン

再開発前の新宿南口にあった「台北飯店」は朝の五時までやっているので、新宿で遅くまで飲んだ人間が始発を待つ避難所だった。 ここの「砂肝焼きビーフン」は、ゴウゴウと燃えさかる火でサッと炒めた歯ごたえのある砂肝が何とも美味い逸品だった。 この店は…

門前仲町「大坂屋」の串煮込み

門前仲町の「大坂屋」の串煮込みは、シロと軟骨とフワの三種類。甘辛い独特の味つけである。 昔、道玄坂の「雪国」のおババが、ここの味を真似して煮込みをこしらえたことがある。といっても、串には刺さなかった。串に刺さない串煮込みはやはり今ひとつと思…

赤目芋

子供の頃、お酉様の屋台でやつがしらと間違えて赤目芋を買ったら、筋っぽくて食べられなかった。 けれども、この芋もちゃんと煮れば美味い。 福建や台湾では赤目芋をつぶしてキントンのような「芋泥」にする。台北の「福園」で食べた芋泥には銀杏がポツリと…

「鈴芳」の串カツ

浅草の通称「ホッピー通り」にある「鈴芳」の串カツは、つぶしたジャガイモに葱と豚肉の串をくるんだ、いわばコロッケ・カツである。面白い。

 G・K・チェスタトン「ポンド氏の逆説」創元推理文庫

G・K・チェスタトン「ポンド氏の逆説」創元推理文庫 十月末発売。乞う御期待。 www.tsogen.co.jp

ウコギ御飯

五月、微温湯の朝食に、山で採ったウコギの若芽を炊き込んだ飯が出た。 豆御飯のような香りがする。

「栄川」の花見

ゴールデンウイークに福島の微温湯温泉へ来たら、道沿いに植わっている大山桜の並木が満開になった。 今日は暖かいから、花見をしようと思う。 帳場にいって、「栄川」のワンカップと麒麟ビールの缶、それに少しのつまみをもらい、小盆にのせて、良さそうな…

『幻想秘湯巡り』復刊と集英社コラム連載のおしらせ

●この夏、電子書籍のレーベル「惑星と口笛ブックス」より、『幻想秘湯巡り』を復刊する。各地の温泉とその温泉ゆかりの文人について記したエッセイ集ぢゃ。中に短篇小説「洞窟の湯守」が入っている。「電子版あとがき」つき。 ●集英社新書ウェブコラム「酒場…

エゴ

瀬見温泉では春秋の彼岸にエゴというものを供える。九州のオキュウトと同じで、海藻でつくった寒天のようなものだ。香りが良い。

イラブウナギ

昔、初めて沖縄の那覇へ行った時、国際市場でとぐろを巻いた蛇の干物を売っているのを見た。イラブウナギという海蛇で、高級な食材らしい。 二、三日して久高島へ行ったが、このウナギの干物をつくるイラブ小屋というのを見たから、那覇へ帰って、とぐろを巻…

蓮根

中国料理は油っこいものばかりだと思っている人が多いが、そうでない。 旬の蓮根を十分に煮て、ホコホコして、少し粘りがあるくらいにする。これを切って黒酢をかけただけというのも、立派な中国料理である。錦糸町の「天府酒楼」で食べたが、この料理は材料…

冬越し大根

山形の瀬見あたりで、春まで雪に埋めておいた冬越し大根は、見てくれは悪いが、甘くて美味しい,と瀬見温泉の鮨屋で聞いた。

蕗の薹

五月の連休に微温湯温泉へ来てみたら、そこいらじゅうに蕗の薹が出ている。もう花が開いているけれど、なるべく若い、たおやかなのを選んで採って来た。厨から味噌をもらい、ばっけ味噌にして食べる。苦いが、香りは上々だ。 これを下物(さかな)に「栄川」…

東郷神社の甘酒

昔、原宿に住んでいた頃、毎年大晦日には友達がわが家に集まり、新年を迎えると東郷神社へ初詣に行った。 その頃はまだこの神社へ初詣に来る人も少なく、空いていて、神さびた雰囲気もあり、振舞ってくれる甘酒もしみじみと美味かった。

紅葉の天麩羅

昔、友人の婚礼で大阪へ行き、温泉のある箕面観光ホテルに泊まった。 最寄りの駅からこのホテルへ行く道に紅葉の天麩羅を売る店があり、ひとつ買ってみた。かりんとうのように硬く揚がっていて、味はべつにどうということもない。紅葉は紅葉である。

「オリオン」の洋食

昔、原宿駅近くのマンションの地下に「オリオン」という洋食屋があり、わが家ではよく使った。ポークソテー、ミックスグリルが看板だった。 この店は出前もしてくれた。K君がマテウスのロゼを土産に家へ遊びに来た時、サラダにコーンポタージュ、ミックス・…

ネップ・カム

最近、都内のベトナム料理屋でもベトナムの酒を置いてある。ネップ・カムというのを頼んでみたら、餅米の醸造酒で、黒く、ねっとりして、甘口で、紹興の太彫酒を思わせた。