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「ナイル」のカレー

昔、東銀座にG彫刻センターというところがあり、父親の遣いでよくそこへ行った。その帰りなどに時々、有名な「ナイル」へ行って、マトン・カレーを食べた。 この店は店主の調子が良くて、いつも術に嵌められたような気がした。

生栗

昔、韓国のソウルで伝統料理のフルコースを食べた時、生の栗が出て来たのをオツなものだと思った。 生の朝鮮人参の薄切りに蜂蜜をつけたのも良かった。

「一房」のおろしそば

昔、池袋西口の池袋警察のそばに「一房(ひとふさ)」という小さな蕎麦屋があった。今は知る人もあまりいないが、昔の食べ物案内書には載っていたから、それなりの由緒ある店だったのだろう。 ここは米子特産の蕎麦粉を使って、「おろしそば」や「かやくそば…

干柿

年をとって好みが変わることは、よくある。 子供の頃、干柿はあまり食べなかったが、四十を越した頃から妙に好きになった。以前、冬に田中温泉へ行くと、時々近所の人がこしらえた干柿をどっさりもらって、堪能した。 「龍口酒家」の石橋さんも干柿を作るの…

近刊広告/ラムとバリー

近刊広告 ◆チャールズ・ラム『完訳エリア随筆』四 続篇下 国書刊行会より、五月刊行の予定。「エリア随筆」はこれにて目出度く完結ぢゃ。 ◆J・M・バリー『ケンジントン公園のピーター・パン』光文社古典新約文庫、五月刊行予定。

「徳仙」の煮込み

浅草の居酒屋「徳仙」は大きな穴子の天麩羅が看板だが、煮込みも美味い。「正ちゃん」の煮込みに似ている。

「蓬萊鮨」のイクラ

昔、渋谷でよく一緒に飲んだS山さんが、青山の「蓬萊鮨」という鮨屋へ連れて行ってくれた。牡丹餅のように大きなイクラの鮨が出て来たのを憶えている。

ぺしょら漬け

山形名物「ぺしょら漬け」は茄子の唐辛子漬けで、辛くて仲々美味い。 「ぺしょら」という名称と製法の起こりについては諸説あるが、多くはこじつけの類である。

赤ホヤと莫来

昔、M氏とN君と北海道へ行った時、小樽の寿司屋で初めて赤ホヤを食べた。ケムール人のような姿のホヤだと思った。普通のホヤとは味がかなり違うが、これはこれで良い。 「莫来」はこの赤ホヤとコノワタを合わせたものだが、こちらも美味い。

「亀島」の泡盛

日本堤にあった居酒屋「亀島」は小さな角店で、お婆さんが一人でやっていた。泡盛があり、昔風にラムネも置いてあった。 生揚げを注文したが、いつまでも出て来ない。そのうち近所の豆腐屋が「遅くなってごめん」と言いながら、届けに来た。

酔仙

大地震で岩手の「酔仙」の蔵元が被害を受けたというニュースを見た時、昔、上野の「岩手屋」でこの酒を初めて飲んだ時のことを思い出した。 それまでに飲んだことのない辛口の酒だった。

四季桜

昔、綜合社でアルバイトをしていた時、社員のK山さんが「四季桜」を飲む会に連れて行ってくれた。 会場は神田の「龍水楼」で、羊のしゃぶしゃぶを食べながら、小さい樽に入っている酒を試飲したのだが、酒は活きが良くて旨く、したたかに酔った。帰りに地下…

黍御飯と粟御飯

昔、幻想文学会の会長達と尻焼温泉に泊まった時、晩に黍入りの御飯が出て、翌朝は粟入りの御飯が出た(その逆だったかもしれない)。ほのかに黄色い黍御飯が気に入った。

ソーホーの鮑

昔、初めてロンドンへ行った時、店の名は忘れたが、一人でソーホーの広東料理屋に入った。旅行案内書に載っている高級店だった。 広い店内に客はわたしと、遠くの隅にもう一人、イギリス人とおぼしき髭の紳士がいるだけだった。 わたしは家鴨の冷製とアワビ…

カノカ汁

ブナカノカは橅の木に生える白い茸である。秋になると鳴子のあたりではモダツと共によく食べたが、数年前、食中毒事件があって、最近店屋などでは出さない。 彼岸の頃。東鳴子のツンちゃんの家で、このカノカの汁を御馳走になった。カノカと茗荷と豆腐と油揚…

サワモダツ

モダツという茸には、オカモダツとサワモダツがあるそうな。 サワモダツは沢の倒木などに生え、オカモダツより美味いという。 今朝、旅館で味噌汁の具にしたのを食べたが、今年は不作のようである。

南蝶食単 まえがき

人も知る袁枚の『随園食単』は味の書である。味覚を論じ、調理法を記す。交友のことなども少し書いてある。わが「食単」は印象の備忘録である。その時々心に残った食べ物を記すばかりで、無論美味かったものが多いが、ありきたりなものであっても、つまらな…

御挨拶&プロフィル

旧ブログから引っ越してまいりました。最初のご挨拶を再掲いたします。今年からはこちらでどうぞよろしくお願いいたします。 ≪御挨拶≫ インターネットを使って本の宣伝をしたいと思っていたが、機械を巧くいじれぬ吾輩にはユメのユメであった。このたび、小…