「台北飯店」の砂肝焼きビーフン

再開発前の新宿南口にあった「台北飯店」は朝の五時までやっているので、新宿で遅くまで飲んだ人間が始発を待つ避難所だった。 ここの「砂肝焼きビーフン」は、ゴウゴウと燃えさかる火でサッと炒めた歯ごたえのある砂肝が何とも美味い逸品だった。 この店は…

門前仲町「大坂屋」の串煮込み

門前仲町の「大坂屋」の串煮込みは、シロと軟骨とフワの三種類。甘辛い独特の味つけである。 昔、道玄坂の「雪国」のおババが、ここの味を真似して煮込みをこしらえたことがある。といっても、串には刺さなかった。串に刺さない串煮込みはやはり今ひとつと思…

赤目芋

子供の頃、お酉様の屋台でやつがしらと間違えて赤目芋を買ったら、筋っぽくて食べられなかった。 けれども、この芋もちゃんと煮れば美味い。 福建や台湾では赤目芋をつぶしてキントンのような「芋泥」にする。台北の「福園」で食べた芋泥には銀杏がポツリと…

「鈴芳」の串カツ

浅草の通称「ホッピー通り」にある「鈴芳」の串カツは、つぶしたジャガイモに葱と豚肉の串をくるんだ、いわばコロッケ・カツである。面白い。

 G・K・チェスタトン「ポンド氏の逆説」創元推理文庫

G・K・チェスタトン「ポンド氏の逆説」創元推理文庫 十月末発売。乞う御期待。 www.tsogen.co.jp

ウコギ御飯

五月、微温湯の朝食に、山で採ったウコギの若芽を炊き込んだ飯が出た。 豆御飯のような香りがする。

「栄川」の花見

ゴールデンウイークに福島の微温湯温泉へ来たら、道沿いに植わっている大山桜の並木が満開になった。 今日は暖かいから、花見をしようと思う。 帳場にいって、「栄川」のワンカップと麒麟ビールの缶、それに少しのつまみをもらい、小盆にのせて、良さそうな…

『幻想秘湯巡り』復刊と集英社コラム連載のおしらせ

●この夏、電子書籍のレーベル「惑星と口笛ブックス」より、『幻想秘湯巡り』を復刊する。各地の温泉とその温泉ゆかりの文人について記したエッセイ集ぢゃ。中に短篇小説「洞窟の湯守」が入っている。「電子版あとがき」つき。 ●集英社新書ウェブコラム「酒場…

エゴ

瀬見温泉では春秋の彼岸にエゴというものを供える。九州のオキュウトと同じで、海藻でつくった寒天のようなものだ。香りが良い。

イラブウナギ

昔、初めて沖縄の那覇へ行った時、国際市場でとぐろを巻いた蛇の干物を売っているのを見た。イラブウナギという海蛇で、高級な食材らしい。 二、三日して久高島へ行ったが、このウナギの干物をつくるイラブ小屋というのを見たから、那覇へ帰って、とぐろを巻…

蓮根

中国料理は油っこいものばかりだと思っている人が多いが、そうでない。 旬の蓮根を十分に煮て、ホコホコして、少し粘りがあるくらいにする。これを切って黒酢をかけただけというのも、立派な中国料理である。錦糸町の「天府酒楼」で食べたが、この料理は材料…

冬越し大根

山形の瀬見あたりで、春まで雪に埋めておいた冬越し大根は、見てくれは悪いが、甘くて美味しい,と瀬見温泉の鮨屋で聞いた。

蕗の薹

五月の連休に微温湯温泉へ来てみたら、そこいらじゅうに蕗の薹が出ている。もう花が開いているけれど、なるべく若い、たおやかなのを選んで採って来た。厨から味噌をもらい、ばっけ味噌にして食べる。苦いが、香りは上々だ。 これを下物(さかな)に「栄川」…

東郷神社の甘酒

昔、原宿に住んでいた頃、毎年大晦日には友達がわが家に集まり、新年を迎えると東郷神社へ初詣に行った。 その頃はまだこの神社へ初詣に来る人も少なく、空いていて、神さびた雰囲気もあり、振舞ってくれる甘酒もしみじみと美味かった。

紅葉の天麩羅

昔、友人の婚礼で大阪へ行き、温泉のある箕面観光ホテルに泊まった。 最寄りの駅からこのホテルへ行く道に紅葉の天麩羅を売る店があり、ひとつ買ってみた。かりんとうのように硬く揚がっていて、味はべつにどうということもない。紅葉は紅葉である。

「オリオン」の洋食

昔、原宿駅近くのマンションの地下に「オリオン」という洋食屋があり、わが家ではよく使った。ポークソテー、ミックスグリルが看板だった。 この店は出前もしてくれた。K君がマテウスのロゼを土産に家へ遊びに来た時、サラダにコーンポタージュ、ミックス・…

ネップ・カム

最近、都内のベトナム料理屋でもベトナムの酒を置いてある。ネップ・カムというのを頼んでみたら、餅米の醸造酒で、黒く、ねっとりして、甘口で、紹興の太彫酒を思わせた。

「ナイル」のカレー

昔、東銀座にG彫刻センターというところがあり、父親の遣いでよくそこへ行った。その帰りなどに時々、有名な「ナイル」へ行って、マトン・カレーを食べた。 この店は店主の調子が良くて、いつも術に嵌められたような気がした。

生栗

昔、韓国のソウルで伝統料理のフルコースを食べた時、生の栗が出て来たのをオツなものだと思った。 生の朝鮮人参の薄切りに蜂蜜をつけたのも良かった。

「一房」のおろしそば

昔、池袋西口の池袋警察のそばに「一房(ひとふさ)」という小さな蕎麦屋があった。今は知る人もあまりいないが、昔の食べ物案内書には載っていたから、それなりの由緒ある店だったのだろう。 ここは米子特産の蕎麦粉を使って、「おろしそば」や「かやくそば…

干柿

年をとって好みが変わることは、よくある。 子供の頃、干柿はあまり食べなかったが、四十を越した頃から妙に好きになった。以前、冬に田中温泉へ行くと、時々近所の人がこしらえた干柿をどっさりもらって、堪能した。 「龍口酒家」の石橋さんも干柿を作るの…

近刊広告/ラムとバリー

近刊広告 ◆チャールズ・ラム『完訳エリア随筆』四 続篇下 国書刊行会より、五月刊行の予定。「エリア随筆」はこれにて目出度く完結ぢゃ。 ◆J・M・バリー『ケンジントン公園のピーター・パン』光文社古典新約文庫、五月刊行予定。

「徳仙」の煮込み

浅草の居酒屋「徳仙」は大きな穴子の天麩羅が看板だが、煮込みも美味い。「正ちゃん」の煮込みに似ている。

「蓬萊鮨」のイクラ

昔、渋谷でよく一緒に飲んだS山さんが、青山の「蓬萊鮨」という鮨屋へ連れて行ってくれた。牡丹餅のように大きなイクラの鮨が出て来たのを憶えている。

ぺしょら漬け

山形名物「ぺしょら漬け」は茄子の唐辛子漬けで、辛くて仲々美味い。 「ぺしょら」という名称と製法の起こりについては諸説あるが、多くはこじつけの類である。

赤ホヤと莫来

昔、M氏とN君と北海道へ行った時、小樽の寿司屋で初めて赤ホヤを食べた。ケムール人のような姿のホヤだと思った。普通のホヤとは味がかなり違うが、これはこれで良い。 「莫来」はこの赤ホヤとコノワタを合わせたものだが、こちらも美味い。

「亀島」の泡盛

日本堤にあった居酒屋「亀島」は小さな角店で、お婆さんが一人でやっていた。泡盛があり、昔風にラムネも置いてあった。 生揚げを注文したが、いつまでも出て来ない。そのうち近所の豆腐屋が「遅くなってごめん」と言いながら、届けに来た。

酔仙

大地震で岩手の「酔仙」の蔵元が被害を受けたというニュースを見た時、昔、上野の「岩手屋」でこの酒を初めて飲んだ時のことを思い出した。 それまでに飲んだことのない辛口の酒だった。

四季桜

昔、綜合社でアルバイトをしていた時、社員のK山さんが「四季桜」を飲む会に連れて行ってくれた。 会場は神田の「龍水楼」で、羊のしゃぶしゃぶを食べながら、小さい樽に入っている酒を試飲したのだが、酒は活きが良くて旨く、したたかに酔った。帰りに地下…

黍御飯と粟御飯

昔、幻想文学会の会長達と尻焼温泉に泊まった時、晩に黍入りの御飯が出て、翌朝は粟入りの御飯が出た(その逆だったかもしれない)。ほのかに黄色い黍御飯が気に入った。