ウコギ御飯

 五月、微温湯の朝食に、山で採ったウコギの若芽を炊き込んだ飯が出た。
 豆御飯のような香りがする。

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「栄川」の花見

 ゴールデンウイークに福島の微温湯温泉へ来たら、道沿いに植わっている大山桜の並木が満開になった。
 今日は暖かいから、花見をしようと思う。
 帳場にいって、「栄川」のワンカップと麒麟ビールの缶、それに少しのつまみをもらい、小盆にのせて、良さそうな枝の下へしずしずと運んでゆく。
 蕗の薹はもう背が高くなった。宿の庭のあちこちには、地面のちょうど蕗の薹くらいの高さに、カスミザクラの薄紫の花が咲いている。大山桜はソメイヨシノよりやや紅が濃く、赤みをおびた若葉と花がいちどきに出る。
 草の上に寝転んで見ると、白い雲の流れる青空を背に、こまやかな花の枝が美しい。日はもう傾いて、輝やかな日が斜めに射している。
 花盛りの桜の樹と一緒にいると、大勢の家族といるような気がする。この花がいちどきに散れば、それは寂しいことだと考えていると、風が出て来て、空が暗くなった。

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『幻想秘湯巡り』復刊と集英社コラム連載のおしらせ

●この夏、電子書籍のレーベル「惑星と口笛ブックス」より、『幻想秘湯巡り』を復刊する。各地の温泉とその温泉ゆかりの文人について記したエッセイ集ぢゃ。中に短篇小説「洞窟の湯守」が入っている。「電子版あとがき」つき。

 

集英社新書ウェブコラム「酒場から酒場へ」好評連載中。見てくだされ。

 

 

(=‘x‘=) 以上、南條城主から電子書籍刊行とコラム連載のおしらせでした。

 

 

エゴ

 瀬見温泉では春秋の彼岸にエゴというものを供える。九州のオキュウトと同じで、海藻でつくった寒天のようなものだ。香りが良い。

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イラブウナギ

 昔、初めて沖縄の那覇へ行った時、国際市場でとぐろを巻いた蛇の干物を売っているのを見た。イラブウナギという海蛇で、高級な食材らしい。
 二、三日して久高島へ行ったが、このウナギの干物をつくるイラブ小屋というのを見たから、那覇へ帰って、とぐろを巻いているやつを買ってみた。
 小岩の「楊州飯店」へ持ち込んでスープにしてもらったが、味は身欠き鰊のようだった。たいそうアクが出て、戻すのに大変な苦労をした、と奥さんのハッチャンが眉を顰めて語っていた。

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蓮根

 中国料理は油っこいものばかりだと思っている人が多いが、そうでない。
 旬の蓮根を十分に煮て、ホコホコして、少し粘りがあるくらいにする。これを切って黒酢をかけただけというのも、立派な中国料理である。錦糸町の「天府酒楼」で食べたが、この料理は材料が新鮮であることを必要とする。

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冬越し大根

 山形の瀬見あたりで、春まで雪に埋めておいた冬越し大根は、見てくれは悪いが、甘くて美味しい,と瀬見温泉の鮨屋で聞いた。

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